生活の批評誌 no.4 対面販売会

開催日: 2020年8月30日 12:00 PM - 7:00 PM

生活の批評誌 no.4 『わたしたちがもちうる”まじめさ”について』 対面販売会

 当店にて「生活の批評ラジオ(仮)」を放送している依田那美紀による生活の批評誌の新刊が出ます。それにつきまして、当店にて依田さんによる対面販売会を催します。

 依田さんのことについて書こうとしているのですが、筆がなかなか進みません。共通点は京都市内在住、同年代、赤瀬川原平、ハイレッド・センター、民藝…。依田さんの同人誌も読んでます。『批評誌3号』と『シスターフッドって呼べない』。でも、書けません。一緒にカレーを食べたり(二度も)、ワインを飲んだり、鴨川で踊ったりしましたが書けません。この書けなさはなんでしょうか。そもそも、なぜ依田さんのことについて書こうとしているのでしょうか。

 そう自問すると、それは、この度の新刊をみなさんの手に取らせしめることを企図してるにも関わらず新刊をまだ読んでないから必然的にその内容については書けず、筆が編集長である依田さんのほうへと自然と向かってるためではなかろうかとモニターと私の目玉の間にある虚空から長い答えが返ってきました。なるほど、私が書かなければならないのはみなさんをして新刊を所望せしめるような惹起的文章で、それは簡潔にして明朗、動く風車が赤子の目玉をぱっと捉えるような、泥の中から宝玉をガッと取り出しバッと呈示するような文章でなければなりません。これは難しい。しかし、この道中で私は知らぬ間に掴んでいたようです。

 私が依田さんに惹かれ、応援しているのは二人がある郷愁を共有しているように感じているからです。それは政治の季節、太陽が照りつけ熱気溢れんばかりの路上とその上で交差する生々しい人間たちへの郷愁です。当時「石畳の下は砂浜だ」と声高に叫ばれましたが、今日の人間はもはや石畳の下の大地のみならず、その石畳であるところの路上からも切り離され、空中へふわふわ浮遊するに至ってしまっている。そんな現状への不満が私と依田さんの紐帯であるように思えてなりません。依田さんと直接このようなことを話し合ったことはありませんが、依田さんも同じように思っていると勝手に断言します。そして、その郷愁と不満をバネに路上の近傍である誌上にて奮闘なされている依田さんの姿に私は胸を打たれる……。どうも感動的誇大的になってきました。モニターもなにやら霞んできました……。

それではみなさん、生活の批評誌 no.4をどうぞよろしく。私も広告を掲載しています。対面販売会は8月30日12-19時です!!以下は新刊情報です。とくとご覧!!!

カバーデザイン:いいことみ (@e_ocoto

みんな、自分の”まじめさ”とどのように付き合っているのだろうか。
気になって、しょうがなくなった。
それはいつからだったか、”相手に対して自分が「他者」であることを、どこまでも自覚したうえでとる不干渉な態度”というものがあって、どうやら私はそれを、”まじめさ”と呼んで大事にしているらしい、ということに気づいた頃からだったか。
傷つけたくなくて、触れないこと。大事な部分を侵したくなくて、踏み込まないこと。
そんな”まじめさ”を手放したくはないけれど、それを握り締めたままどうすれば誰かと一緒にいれるのか、だんだんわからなくなった。

だから、問いかけた。あなたは、自分の”まじめさ”とどのように付き合っていますか?
人とかかわるときの危うさを手放さずに、どのようにして、誰かとともにいますか?
わたしには見えない、この世界のあちこちで静かに試行錯誤されているであろう誰かの工夫と実践を知りたかった。ここにあるのは、その応答。であるような、そうでないような。
でも、そのどれもが、その人の大事な部分に触れているような気がする。
10人による文章・漫画・インタビューを収録しています。


B5判|縦書き|68ページ 
企画・編集|依田那美紀(*諸事情により改名)
発行日:2020年8月10日|発行部数:300部
手売り販売価格:900円(悪税抜き。*委託・通販の場合は価格変更予定)
*手作業の工程を挟むリソグラフでの印刷のため、一品一品若干の差がございます。
 乱丁、落丁がある場合はお取りかえいたします。

  
■目次(掲載順)

A子|ゆりか

炎・だいじょうぶですか・火|大前粟生

欲望とその対策、生きづらさと秘密の通路|稲岡奈由

暗い・明るい・おなじ場所 /わたしだけの湖 |塩川愛

解体の方法 ー「女のことば」と高橋源一郎|依田那美紀

インタビュー
いまここにある言葉を、書き記す —語りをめぐる”まじめさ”の話— |瀬尾夏美 

ケーキを食べる練習 |梅澤奈央

音楽の鳴る場所 |nu

死よ人の望みの喜びよ |門戸大輔

Null — 何もない私と関係性 |餅巾着 

執筆者一覧

広告:非実用品店めだか

編集後記

■今後の対面販売予定 8/12現在、2度の対面販売を予定しております。
どれも編集長依田がおります。ご都合がよければぜひお越しください。
・8月30日(日)12時〜19時 
 超超先行販売@非実用品店めだか(京都市上京区突抜町434−2)
・9月6日(日)11時〜17時
文学フリマ大阪(天満橋OMMビル)*8/12現在開催予定

*書店さんでの委託販売・通販は9月中旬以降、順次実施予定

■価格のこと
これまでの1〜3号の価格設定に比べて、少し高めの設定になっています。
「生活」と銘打っている限り、気軽に、週刊誌を買うように買って欲しいという思いもあり、
これまで値段はなるべく抑えるようにしてきました。
ただ、私自身が全く「気軽に」作っているわけではないということ、また、扱っていただいている書店さんの販売・発送の労力に少しでも見合う価格設定にしたいと考え、今回の見直しに至りました。
「中身を見ないと買うかどうか判断できないよ」という方もいらっしゃるかと思います。そういう方は、まだ直接お買い求めいただける店舗さんは全国津々浦々とは言い難いですが、少しでも近くのお店で見ていただくなどして、あるいはちょっとしたギャンブルのつもりで、今後実施予定の通販での購入にチャレンジしていただければ幸いです。

 ■販売店舗様を探しております 『生活の批評誌』no.4をお取り扱いいただける店舗様を探しております。
すこしでもご興味がある方、詳しい内容をお知りになりたい方は、 seikatsunohihyoushi@gmail.comまでご連絡ください。 内容に関して、またお取引の諸条件条件などについてご連絡いたします。
*バックナンバーに関しては在庫無し